2013/10/10付日経新聞記事からの気付「アマゾン、商品を共同開発」

「インターネット通販最大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)は食品メーカーなどと商品の共同開発に乗り出す。ネット上での消費者の閲覧・購買履歴といったビッグデータを取引先に提供。需要をきめ細かく反映したオリジナルの食品や日用品を開発する。第1弾としてカゴメと栄養成分を高めたトマト飲料を販売。月間4800万人が利用する集客力が、メーカーの開発手法を変える動きといえそうだ。

 

カゴメと開発したトマト飲料は『プレミアムレッド』(1缶160ミリリットル・168円)。アマゾンが持つ閲覧や購買履歴に加え、他の商品に対する関心が推察できる消費者の検索の傾向といったデータを提供した。カゴメはデータをもとに抗酸化作用が注目されている「リコピン」を同社の従来品に比べ2倍に増やした飲料を商品化した。

 

アマゾンは『限定商品』と呼ぶ独自品を2005年から販売してきた。通常のメーカー品の色を変えたり、DVDセットに特典を付けたりしている。本格的な共同開発の開始にあわせて限定商品を集めた専用『ストア』をサイト内に開く。

 

まず10日に従来の3割増にあたる1700品目に品ぞろえを広げて始める。農薬を減らして育てた北海道産のコメ『ゆめぴりか』(5キロ、2615円)、日本向けにレシピ集などを付けた調理家電『フィリップスノンフライヤー』(3万800円)などを扱う。これまで限定商品は家電や食品など専門コーナーごとにバラバラに扱っており他の商品に埋もれがちだった」。

 

共同開発と言ってもまだ序の口だが

 

現状は対象商品に関わる消費者の購買履歴、閲覧履歴、さらには他の関連商品に対する検索履歴などの「ビッグデータ」をメーカーに提供するという段階にとどまっているようだ。アマゾンが蓄積しているビッグデータの解析方法や活用方法を商品開発や改良にどう生かすかのノウハウをメーカーに提供し、協働しあって開発を進めるところまで至れば、メーカーの製品開発プロセスは大きく変わる。

 

商品開発のプロセス・イノベーションの始まり

 

これまでスーパーやコンビニなどの小売店は消費者の購買履歴をPOS経由で取得し蓄積してきた。しかしこれを活用して商品開発に活かすという試みは、セブンイレブンのNDFでの共同開発や、コープさっぽろの宝箱の試み以外ほとんどなされてきていない。本来小売業はこうしたビッグデータを開示し、メーカーとともに活用して商品開発や販売促進に活かしていればもっと魅力的なマーケティングが展開できたはずだ。膨大なビッグデータは死蔵されてきたわけだ。

 

アマゾンは小売業界のこれまでの常識をいとも簡単に超えた行動に踏み込み、商品開発のプロセス・イノベーションの第一歩を歩み始めたわけだ。

 

メーカーの商品開発プロセスも変わる

 

もちろんメーカーもこうしたECサイドとの協業によってノウハウを蓄積することで、商品開発のプロセスの革新に踏み出すことが可能になる。今後ECサイトのビッグデータのメーカーへの提供が常態化すると、リアル店舗を持つ小売業も従来の悪しき習慣を打ち破り、積極的にPOSデータや顧客データの提供を行って、PB開発や販売促進企画開発に展開するようになるだろう。

 

こうした流れを背景にメーカーは小売業からのデータを得るだけでなく、SNSから消費者の生の声を聞き取り、これらのビッグデータを総合的に活用して商品開発や改良のプロセスに本格的に活かすようになるだろう。

 

アマゾンもPBを提供するようになる

 

アマゾンのカゴメとの協働はアマゾンの「アマゾンストア」だけで販売するというチャネル限定商品の開発を目指しているが、その目指すところはPBに行き着くことになるだろう。アマゾンは自らの獲得しているビッグデータの価値と着実に買う題しつつある巨大な販売力、物流力を背景に、有力なNBメーカーとの戦略的な提携を前提にした独自商品の開発を実現し、リアル店舗をもつ小売業に対してさらに優位なポジションを獲得することになるだろう。