2013/11/9付日経新聞記事からの気付き:「診療報酬 増額圧力強く」

「厚労省は8日、来年度の診療報酬改定の基本方針の「骨子案」を専門部会に示し、増額を求める姿勢を鮮明にした。保険診療が非課税のため患者からとれない消費税率の引き上げ分を、診療報酬に上乗せすることを明記。

 加えて「必要があれば引き上げる」(田村憲久厚労相)との立場で、地域医療機関の役割分担や在宅医療の強化、がんや認知症対策など、増額につながる項目を並べた。

 診療報酬は民主党政権下の10年度、12年度と2回連続で増額されたが、医療界からの増額要求はやまない。日本医師会の横倉義武会長は8日、「前回は大病院中心。中小病院や診療所にも配分が必要だ」と強調した。

 2014年度予算案が決まるまで、1カ月半に迫った。膨張が続く国の歳出に歯止めをかける取り組みは、例年通り心もとない。高齢化で医療・介護など社会保障関係費はまた1兆円規模で増え、30兆円を突破する。

  歳出膨張の筆頭格である社会保障分野で、効率化の取り組みは本当に進むのか。

  個別の改革の足取りも不安定だ。例えば介護では制度創設以来初めて、一律1割だった自己負担を見直す。だが実施は15年4月以降。今後、政治の巻き戻しを受ける懸念は十分にある。

 医療の改革を巡って政府は、患者が病院にとどまる日数(平均在院日数)を減らし、公費4400億円を圧縮する方針を示している。だがこちらも「診療報酬など医師や看護師への十分な配分が先」(厚労省)。効率化の視点を欠き、具体策は見えない」。

 

消費税増税の分捕り合戦が始まっている

 

消費税増税により増加する原資の分捕り合戦が進んでいるようだ。このままでは増税はたんにバラマキの原資が増加するだけに終わる

医療に従事する関係者の報酬の最適化は医療の質量を維持・改善するためには欠かせない。そのための原資をどこに求めるかが問われている。増税にそれを求める前に医療の効率化について改善余地は極めて多きい。

 

こうすれば医療費は縮減可能だ

 

1.病院経営の合理化。

(1)     赤字経営の医療法人が多い。ということは効率的、効果的な病院経営が行われていないということを物語る。ITを活用して病院事務を合理化するとか、業務をアウトソーシングすれば事務間接費は大幅に縮減可能だ。

(2)     医療事務はどこの病院でも同一のはずだ。しかし病院ごとに個別にITシステムを開発しているのが実態だ。ここにでも大きな無駄を生んでいる。共通システムを開発してクラウドで運営すれば良い。これによって患者も病院の受付や会計で長時間待たされることはなくなるだろう。

(3)     零細な医療法人がしのぎを削っていることも無駄を生む要因の一つだ。ボランタリーチェーンやフランチャイズシステムに準じた経営方式への転換が方向性として有効だ。強力な本部機能を創設して薬剤や、医療設備、器具備品などの調達を一元化したり、事務間接業務を受託したり、看護師や医師の派遣を実施したり、スタッフの教育研修を受託して、零細医院が自由度を持ちながら大規模経営の病院並みの高度な経営インフラを活用することが可能になる。

2.診療システムの高度化

(1)     ここでもITの活用が威力を発揮する。カルテを電子化してこれをすべての医療機関で共通のシステムで運営することが大前提だ。

(2)     電子カルテのシステムも個別に医療機関ごとに開発しているが、これも大きな無駄を生んでいる。全医療機関が利用できる電子カルテシステムを開発し、これをクラウドで運営して、この情報を共有することを可能にすれば大きな効用が生まれる。

(3)     病院ごとに血液検査を受けたり、X線撮影を受けたりする経験は多い。電子カルテシステムを共有すればこんなロスは全くなくなる。かかりつけ医院と大病院との医療連携も大きく前進することになる。

(4)     電子カルテや医療情報を共有することで、PETMRICTなどの高額な医療機器の設置台数の最適化を実現することが可能になる。

(5)     さらには診断や治療の方法を巡って多くの知恵を結集して最適な治療を実現することも可能になる。

3.  医薬分離による処方の合理化。

(1)     医薬分離の目的は医師が最適な処方をおこない、かりそめにも無駄な薬剤を処方することを防止することであるとするなら、現段階ではその目的は不十分にしか達成できていない。薬剤師には医師の処方に対するけん制、変更を求める権限が与えられていないからだ。

(2)     電子カルテの共有によって、処方の権限そのものを薬剤師に委ねるまでの徹底した医薬分業実現すること可能になるはずだ。

4.  ベッドの回転率の向上。

(1)     病院の入院日数について治療施術に応じて最大日数を定め、これを超えての入院を止めることが必要だ。これによってベッドの回転率は上昇し、救急患者のたらい回しも減少するはずだ。

5.  PPK運動の活性化。

(1)     死ぬまで元気に活動することを目標とするPPK(ぴんぴんころり)運動をもっと盛り上げて、元気で谷布く生活して、医療機関のお世話になる機会を最小限にする高齢者を増やすことに積極的に取り組む必要がある。高齢者自身もその意義を理解しこの運動に積極的に参加すべきだ。