2013.11.12日経新聞記事からの気付き:「眠る1600兆円、成長資金に」

 「金融版の成長戦略を練る政府の金融・資本市場活性化有識者会合が11日、始まった。最大の課題は1600兆円の個人金融資産の活用策だ。日本は米国と比べ、預貯金や債券などリスクが低い資産に偏る。長期の経済成長に向け、株式やベンチャー企業投資に振り向ける戦略を描けるかが焦点になる。

 日本の個人金融資産は約1600兆円。米国に次ぎ世界で2番目に多い。だが、株式は8%にすぎず、現預金が54%を占める。対照的に、米国の家計資産は株式保有が32%を占める。米国で投資を後押ししているのがIRAだ。長期の積み立てを促す仕組みで投資が定着し、投資信託の保有比率は80年の1割以下から4割超に拡大した。

 成長戦略の第二の柱になる産業の競争力強化でも構図は同じだ。日本のベンチャーキャピタルの年間投資額は米国の10分の1以下。開業率も日本は4%で、米国の半分以下だ。

 有識者会合では「エンジェル税制」の使い勝手の改善やインターネットを通じて不特定多数から小口の資金を募る「クラウドファンディング」などの起業促進策を議論する。各論をつなぐ全体構想を描けるかが課題になる」。

 

税制をいじっただけで成長資金が増えるはずはない

 

1600兆円の個人の金融資産をベンチャー投資や株式投資に振り向けるうえで欠かせないのが、企業の資金需要を旺盛にすることだ。企業の資金需要が旺盛にならない限りいくら資金供給を増やしても資金は動かない。

日本の個人金融資産が預貯金や債券に偏重してしまうのは、個人がリスクを取りたがらないというのではなく、そもそも資金需要が過小だからだ。

個人金融資産をリスク資産の投信へ振り向けたとしても投信自体の運用先が債券偏重になっている以上大きな変化は望むべくもない。

個人ではなくて企業が、そして企業経営者がリスクを取りたがらないことが最大の問題だといえる。

 

マインド・イノベーションのすすめ

 

企業の資金需要を旺盛にするには企業が積極的に投資機会を開発しそこに経営資源を集中投下することが前提だ。そのためには投資機会を開発するマインドのイノベーションが真っ先に必要になる。新しい価値を提案して新規需要を掘り起こす仕事の優先順位を高め、新規事業開発にかなりの経営資源を投下するマインドの形成が必要なのだ。

少なくとも10年ごとに一つの大型新規事業開発を実現し、企業価値を高めつづける努力を継続するマインドが求められる。

企業価値の評価は現状の経営実績の優位性だけでなく、新規事業の開発投資にどれだけの資源投下をしているかについての評価尺度を付加することが求められている。