副島隆彦著「帝国の逆襲」(祥伝社刊)

 

副島氏の著作はインテリの週刊誌のような面白さが尽きない。本書のごシップ記事は次の通りだ。

 

 

 

ラエル・ブレイナード女史がアメリカ帝国の経済財政戦略を牛耳っている

 

 

 

ラエル・ブレイナード女史は米国財務省の国際問題担当の財務次官として、リーマンショックの後ティモシー・ガイトナー長官に代わって日本管理も担当した。ガイトナー長官はリーマンショックの後心身症になって表舞台から引っ込んでしまった。総額50兆ドルにのぼるアメリカの巨額の借金の処理に耐え切れずにこころの病に侵されてしまったらしい。

 

そこでこのブレイナード女史がガイトナーに代わって財務長官の仕事を実質的にこなしてきたというわけだ。その功績にオバマ大統領はブレイナード女史をFRB理事副議長として処遇した。理事長はジャネット・イエレン女史に決まったから、今後はこの二人の暗闘が見ものになるというわけだ。

 

ブレイナード女史を若いころから引き立て育ててきたのは元FRB議長のポール・ボルカーだ。ボルカーはロックフェラー帝国の右大臣格の男だ。(ちなみに左大臣はヘンリー・キッシンジャーだ)。ボルカーの後ろ盾があったればこそ、ブレイナードは実質的な財務長官として中国や日本を恫喝することができたというわけだ。

 

 

 

日本は異次元の金融緩和とともに50兆円にのぼる為替操作を行った

 

 

 

日銀総裁に黒田氏が就任し、異次元の金融緩和を実行に移した時を同じくして日本政府は50兆円の為替操作を行い、為替相場を80円から100円へと円安に導いた。これに対して当然世界中から非難の声があがったが、モスクワG20に先立つ2月11日に、ブレイナードは「アベノミクスを支持する、擁護する」という米財務省の声明文をだした。これで日本が名指しで国際社会から袋叩きになることはなかった。

 

日本の為替操作は50兆円で米国債を購入することに他ならない。ということはこの為替操作自体がブレイナードの指示によって実行されたということだ。つまりは今や50兆ドルの借金を抱える米国にまんまと50兆円をまきあげられてしまったということだ。

 

 

 

2015年にアメリカは破たんする

 

 

 

50兆ドルの借金を抱える米国政府は10月に財政の崖で顕わになったように、すでに予算すら組み立てられずに、デフォルト状態になるのは目に見えている。その時期こそ中間選挙の後の2015年の初めになる。

 

 

 

金とドルの「最後の戦い」が始まる

 

 

 

アメリカ政府は信用ガタ落ちの米国債の価値を維持するために金価格の下落を仕掛けている。しかし金とドルの戦いも2015年には決着がついて金はその時現在の3倍から4倍の価格に跳ね上がっているはずだ。

 

まがりなりにも基軸通貨としての機能をはたしてきたドルが暴落する時に、人々は確かなよりどころとして金に回帰するということだ。

 

 

 

アメリカのシェールガス革命は起こらない

 

 

 

シェールガスの掘削によって地下水のメタン、エタン、プロパンなどによる汚染が大規模に発生する。したがってシェールガスはいずれは掘削の地域が厳しく制限されることになり、鳴り物入りで始まったこの騒動もやがて終息に向かわざるを得なくなる。

 

 

 

どうすりゃいいのさこのわたし

 

 

 

以上の副島氏の予測は当たるも八卦当たらぬも八卦である。副島氏はかつて2012年にフランスの三大銀行が破たんする、と発表した。この予測が外れたように、予測が生まれると、当然のことながらそうならないように為政者はありとあらゆる手段を総動員してそのカタストロフィーを回避する手を打ってくる。

 

為政者の彌縫策は当然のことながら矛盾の根本解決には至らないから、それはさらに大きな悪矛盾を抱え込んで、カタストロフィーの規模を大きくしてしまうだけになる。

 

しかし大きなカタストロフィーは大多数の生活者が大きな被害を受け、権力の近くにある人々にはさしたる被害は及ばないことがじつは本当の問題だ。

 

だから、生活者はどのようなカタストロフィーが生じてもさほどの被害を蒙らないための備えが必要だ。自己防衛のための信頼性の高い方法を鍛え上げることこそ今もっとも求められていることだということだ。