「中国勢は太陽光パネルの生産能力の引き上げが続き、低価格を武器にシェアを伸ばしている。1位の英利緑色能源(インリーグリーンエナジー)と3位の天合光能(トリナソーラー)など4社がトップ10入りした。
『日本には優れた環境関連技術の蓄積がある』(アジア生産性機構の天羽雅也工業企画官)とされるが、海外市場ではコスト面で中印や欧米企業に敗れた。
再生エネの普及には量産による導入コスト低下だけでなく、発電効率を大幅に改善する技術革新が求められる」。
パネル・メーカーは中国勢が圧倒的な優位に
ソーラー・パネルメーカー・ランキングで世界第4位のカナディアン・ソーラーも本社はカナダだが製造基地は中国が主体だから、中国系企業とみなしてもよい。そうなるとソーラー・パネル製造企業はほとんどが中国系企業で占められることになる。
日本のパネル・メーカーはコスト競争力で完全に出遅れてしまった。では太陽光発電ビジネスにおいて日本企業のはどのような競争戦略をとることでグローバル競争に生き残れるのだろうか。その解のヒントになる記事が同日付の日経新聞にみることができる。
東芝が大型蓄電池で攻勢に
「東芝は電力向けとして世界最大級のリチウムイオン電池を実用化する。標準家庭で2000世帯が1日に利用する電力量を蓄えられる容量2万キロワット時の電池で、まず東北電力に2015年に納入する。受注額は約100億円。再生可能エネルギーで生み出した電気を一時的に蓄えたり、電力が不足しそうな時に短時間で放電したりして電力網を安定させる。東芝は環境配慮型都市(スマートシティー)の中核製品として国内外で売り込む」。
蓄電池のビジネス領域では日本企業は競争優位に立てる
他の再生可能エネルギーと比較したとき、太陽光発電のもっとも大きな弱点は発電時間が日中に限られること、日中でも天候によって発電能力が大きく変動することなど、電力供給の常時安定性に欠けることにある。
この欠点を補完する上で蓄電池の活用は不可欠になる。蓄電池の製造技術で日本企業は世界をリードする位置にある。この強みを生かせば、パネルが設置されるところには蓄電池が不可欠になるわけだから、パネルの需要拡大と歩調を合わせて蓄電池の市場拡大が期待できる。
ソーラー・パネルの品質のばらつき退治でも日本企業は活躍できる
太陽光発電のもう一つの課題は発電コストが、日本では10年時点で1キロワット時当たり33~38円。割安な石炭火力発電に比べ3~4倍にも達する点だ。この要因の一つにパネル発電効率が劣位にあって、まだまだ改善の余地が大きいということだ。ここにも日本企業の優位性の可能性が秘められている。低位な発電効率の要因はパネル品質のばらつきにあるので、このばらつき退治をお得意のTQMによって実現すれば、まだなお日本企業のリベンジの可能性は残されている。
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