日経新聞記事からの気付き:「消費増税対応、品目絞る」2013.12.12付

 「食品や日用品の大手メーカーが商品数を削減する。伊藤ハムやエステーは数年内に4割減らすほか、ライオンなども絞り込んでいる。原材料費が高止まりしているが、来春の消費増税後は節約志向が強まる見通しで値上げは容易でない。広告費や生産の効率を高めて、売れ筋に経営資源を集中させることで、厳しい経営環境を乗り切る。

 伊藤ハムはハム・ソーセージなど加工食品の品目数を2016年3月末までに現在から4割弱減らし、約1500品目に絞り込む。品目を減らすことで工場では生産品目の切り替えが減って作業効率が上がり、包装費や物流費、広告・宣伝費も減らせる。一連のコスト低減を柱に、13年3月期に56億円だった営業利益を16年3月期に150億円まで増やす。

 明治ホールディングス傘下の明治は菓子の新商品を年間で300品目以上投入していたが、14年3月期は約270品目に絞り込んでいる。同上期は菓子の新商品数の削減などで、物流と在庫管理費で約3億円、生産の効率化で約7億円のコストを低減した。下期も同様に取り組む」。

消費財メーカーを直撃する3重苦

消費財メーカーはいま3重苦に悩んでいる。

一つは円安だ。円安で輸入原材料が軒並上昇している。これによるコストアップ要因をどう吸収するかが問われている。

二つ目は消費税だ。消費税が引き上げられることで消費の減少が一時的にもせよ発生することで、設備稼働率が低下し、これがコストアップにつながる。

だから消費税3%増加しても価格は上げない選択を迫られることになる。もちろん小売りの無理強いではなく、メーカーと小売りの共同意思での選択だ。値下げはコストダウンで吸収しなければならなくなる。

三つ目は小売店のパワーの拡大だ。特にコンビニエンスストアのパワーはこれまでとは異なる形で強大化している。コンビニの棚に置かれた商品は例えば週に10個以上売れること等の厳しい条件をクリアされたものだけだ。これをクリアできなければすぐに有無を言わせず棚から外される。

勢いメーカーは次々と新製品やリニューアル製品を提案せざるをえなくなる。これが品種数の急激な増大につながっている。

コストダウンのための打ち手は何か?

三重苦を脱するには思い切ったコストダウンが必要になる。コストダウンの打ち手はあるのか?

一つは減量値上げの手だ。一個当たりの製品重量を減量して、実質的に値上げをするという打ち手だ。これはメーカーだけがいい思いをするということになりかねないので、消費者と流通とメーカーがそれぞれ三方得になるように利益を配分する配慮をすれば成功すると思われる。

しかしこの手は、利益率は維持できても利益額は確実に減少する。利益額を維持しようとすればやはり同時にコストダウンが必要になる。

二つ目のコストダウンの手は記事にあるようにアイテムを削減して売れ筋商品に絞り込む打ち手だ。アイテム数が多いと製造プロセスでの段取り替えの回数が増え、設備の稼働率が下がる。アイテム数を減らせばこのロスタイムが減って稼働率が上がる。

しかし廃止されたアイテムが得ていた売上高と稼働率向上によって増加する売上高の合計の売上高を絞り込まれたアイテム数で稼がなければならない。これができなければ単に売上高の減少によって利益額が減少するという負のスオパイラルに陥ってしまう。

三つ目の打ち手はオーソドックスなコストダウンの打ち手だ。今一度製品品質向上にこだわり、品質を上げることでコストを下げるという日本的品質管理の原点に返る打ち手だ。

品質を上げると不良品が減り、歩留まりが上がって、コストが下がる。このための品質保証活動を全社挙げて取り組むことが王道なのだ。

しかし決め手はコストダウンではなくて成長戦略だ

コストダウンは必要不可欠だが下手をすると利益額の減少につながりかねない。だから必要なのは成長戦略だ。そのためにはなにをすべきか。

一つは販促費を上手に使って、効果的なプロモーションを実施し、顧客の購買意欲を呼び起こして需要を拡大し、結果として設備稼働率を上げていくこと。

二つ目は製品イノベーションだ。次々に提案する新製品のライフサイクルを少しでも長くするために製品企画開発の転換を行うことが望まれる。次々に思い付きのような形で企画開発するのではなく、しっかりとしたコンセプト開発から始める企画開発へのプロセス革新が必要とされているのだ。

まさに急がば回れの鉄則がここでも生きてくるということだ。