ネット通販の市場が拡大して10兆円規模に
「日本でもネット通販の市場はスマートフォン(スマホ)の普及で、コンビニを大きく上回る速度で成長し、10兆円を突破した。コンビニが『世の中の変化に対応し続けて成長の第2段階に入る』(セブン&アイの鈴木敏文会長)ためにはネット消費の取り込みが不可欠だ。受け取り拠点というネット社会のインフラとしてコンビニを活用する動きが広がりつつある。
セブンイレブンは店舗からの食品の宅配も強化しており『将来はネットで購入した商品を一緒に届けるサービスも検討する』(井阪隆一社長)。
ただ現時点でネットの商品を自宅ではなくコンビニで受け取るというニーズは多くない。広島のセブンイレブンでは昨年末以降、1店舗あたりコンビニでの受取件数は多くて10件程度という。全国でサービスを手掛ける他のコンビニでも『1店につき1日数件』だ。
セブンのネット通販ではコンビニで受け取れば配送料は原則無料。自宅を留守にすることが多い人は近所のコンビニに寄ったときに受け取れるのは便利だ。だが一方で日本の宅配サービスは時間指定などニーズに合わせ進化し、自宅でも受け取りやすくなってきた」。
しかしネット通販の商品のコンビニ受け取りは拡大しない
記事にあるとおりに日本の宅配サービスのサービス水準は高いのでコンビニでネット通販の商品を受け取るニーズは大きくない。むしろ宅配の代わりにコンビニ商品の宅配のついでにネット商品を届ける方がニーズは大きい。しかしコンビニ商品の宅配のタイミングとネット商品の宅配のタイミングが一致することはさほど多くを期待できない。となるとコンビニとネット通販の愛称はさほど大きくないとみるべきだ。
例外はチケットの代理発行サービスだ。これはモノではなく、データを送るだけなので、ITを活用してチケット窓口をコンビニが代行できた。と言うことはコンビニとネットとの融合はデータのコンビニでの受け取りにより大きな可能性があるとみるべきだ。
窓口サービスの代行が有望だ
コンビニによるチケット窓口の代行に類したサービスで期待できそうなのは行政の窓口の代行だ。住民票、印鑑証明書、戸籍抄本などをコンビニで発行してもらえたならうれしいことこの上ない。国民背番号制度が始まればコンビニでこれらの証明書を発行してもらえることが可能になる。
郵便局の郵便窓口業務もコンビニで代行できるはずだ。郵便物はポストに入れれば発送完了だけれど、その前にいくらの切手を貼るべきかの判断が付きまとう。コンビニで郵便物の重さや大きさや仕向け国などの条件を勘案して料金を計算し、切手を発行してもらえればこれまたうれしい。その上にポストをコンビニに備えてくれればもっと嬉しい。意外にコンビニの店舗数の方がポストの数より多いのかもしれないので。
コンビニは社会インフラ機能を拡大することで進化する
コンビニが代行している窓口業務はすでに銀行の窓口業務があり、公共料金の代行受領業務があり、税金の代行収納サービスさえある。これに加えて、地方自治体の窓口業務や郵便局の窓口業務も取り込む余地があるということだ。
こう考えるとコンビニの進化は公共窓口のサービス業務を代行して、まさに社会インフラの一部機能を高いサービス水準で担う方向に大きな可能性が見えている。
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