進まないペーパーレス化

 

医療や納税事務での電子化が進まない

 

 

 

医療現場では電子カルテを導入しているのはまだ20%の医療機関でしかない。処方箋に至っては大分県別府市でやっと30件の薬局が参加して実証実験が始まったばかり。参加した薬剤師の評判は悪く展望は全く開けていない。納税での電子化も全国でわずか120件どまり。(2014.2.13日経新聞朝刊)

 

 

 

電子カルテと電子処方箋が医療費を削減する

 

 

 

医療データの電子化で医師や薬剤師がデータを共有できれば医療費の削減が進むはずだ。

 

病院にかかれば採血をはじめレントゲン、心電図、CTMRIなどの医療機器での検査が行われる。医療データが共有されればムダな検査は大幅に減少するはずだ。

 

処方箋にしても共有されれば過去履歴から最適な処方がなされて医療費の削減につながるはずだ。

 

また医療データの標準化が進めば医療費の計算はプログラムが共通化されて、医療事務に関わるシステム費用も大きく削減に向かうだろう。

 

いいことづくめなのに進まないのは、進めれば医療機関の収入が減るからだ。

 

 

 

納税書類の電子化で3000億円の経費削減

 

 

 

納税に関わる領収書や契約書などの証憑類のペーパーレスは事実上認められていない。膨大な量の紙の整理と保管で3000億円の経費が掛かっていると推計されている。

 

アメリカや韓国はすでに電子化されていてペーパーレスは80%程度に推進されている。

 

ここでも推進されない理由は国税の人員削減につながることに対する抵抗だ。まさしく国税の既得権維持の論理が社会正義の実現を阻んでいるということだ。

 

国税もそろそろ発想を転換して、ペーパレス化で浮いた要員をマルサの拡充にあてれば一石二鳥になるのではないか。

 

 

 

本格的なペーパ--レスのかたち

 

 

 

領収書をペーパーレスにしたら何が起きるか。現在の紙の領収書をイメージすると、単に紙を取り扱う手間や保管の手間が省けるだけだ。しかし領収書そのものを紙で出さないことも可能なので、領収書をいきなりデータ化してしまえばもっと違った別の世界が拓ける。

 

レジで印字されるレシートの代わりに、領収書データをスマホで受け取れば、経費精算の入力そのものが不要になる。レジで出力される領収書データのフォーマットを標準化しておけば後はどんな加工もお手の物になる。

 

企業の経理処理にスマホから転送された領収書データが使われるようなれば、革命的な事務処理削減につながるはずだ。世の中のすべての領収書がこうしてデータ化されれば社会的なイノベーションにつながることになる。

 

 

 

税務当局も推進に加勢するデータ化のもう一つの効果

 

 

 

企業間の支払い業務はすでに電子化され、請求書も領収書もペーパーレスになっている。国税もこうした取引のペーパーレスはすでに認めている。大企業間の取引だけでなく、すべての取引をこうした電子取引にするための社会インフラを整備すればよいだけということになる。

 

この社会インフラのもう一つの効果は消費税の取りはぐれをゼロにするインボイス方式が可能になるという点だ。消費税の完全補足ができるということならば、国税もペーパーレスに反対する根拠を失うに違いない。