TPP交渉がこう着状態にあるという
TPP交渉が日米のおもわくの違いでこう着状態になっている。アメリカは日本の農産品関税撤廃を迫り、日本はアメリカの自動車などの工業製品の関税撤廃を迫っている。しかし日本は農産品の関税維持を求める一方、米国は自動車の市場開放を拒んだままだ。
自動車関税撤廃はアメリカには些細なこと
とはいえアメリカは自動車関税撤廃の方針はすでに表明していて、撤廃の時期が論点になっているという。
「日本が重視するのは米国が日本車に課している2.5%の関税をなくす時期だ。日本がTPP交渉に加わる前の昨年4月、米国は『日本車の関税を将来的にゼロにする』ことを認めている。日本は再三、米国に『いつまでに関税を撤廃するのか明示すべきだ』と迫ってきたが、日本車の輸入増を嫌う米自動車業界の圧力を受ける米政府は明確に答えられていない』。(日経新聞2014.2.16)
もともとアメリカの自動車関税率は2.5%という、さして問題にするほどのことがないような比率でしかない。為替が3円ほど円高に振れればすぐに隠れてしまうような関税率でしかない。
つまり自動車関税問題はアメリカにとって死活問題ではないということになる。
日本の農産物関税は異常な高率
これに引き換え日本の農産物関税は異常な高率だ。
精米 778%
麦 252%
乳製品 360%
この高率関税は多少為替レートが動いても解消できる程度のものではない。まさに一粒たりとも輸入させないという国家意思の表れだ。アメリカにとってはこの異常な率の関税を撤廃させることが農業立国アメリカの真の狙いだ。
そして日本の農産物関税撤廃はアメリカと並んで農業国家であるオーストラリア、ニュージーランドの狙いでもある。
アメリカは日本の農産物関税撤廃まで妥協しない
アメリカは日本の農産物関税撤廃に向けた交渉で実質的なリスクのない自動車関税撤廃をアメリカにとっての死活問題のように演出することで切り札として使っている。
自動車関税撤廃をアメリカの死活問題に見せかけることは、日本から妥協を引き出すうえで重要なカモフラージュができるわけで、日本の交渉担当者たちもこの辺の事情をよく理解したうえでシナリオを共有しているかもしれない。
とすれば関税撤廃を巡って日米が火花を散らしているというのは実は双方が納得の上での茶番劇でしかない。
日本の大衆だけが、政府とその片棒を担ぐマスコミの茶番劇にまんまと騙されているということなのだ。
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