2014.3.7付日経新聞論文からの気付き:「米国との同盟、過信は禁物」

 

米国は中国への抑止力にはならない

 

ペンシルベニア大学教授のアーサー・ウォルドロン氏は日経新聞の「経済教室」に寄稿した論文の中で、極めて興味深い主張をしている。

 

「中国は10年後、大量の通常兵器と核兵器を保有するようになるだろう。第2次世界大戦以降、米国の同盟国である日本やその他のアジア諸国は、最終的な安全保障を米国の軍事力と抑止力に頼ってきた。これは、米国が核の報復を受ける可能性があるときに、核兵器を他国のために使うという米国の約束を当てにすることを意味する。私自身は、こうした約束は守られないとみている。米本土に対する核攻撃への報復以外の理由で核兵器を使用する米国の大統領はいないだろう。

 

米国の最も古い同盟国であり、米国を最もよく知る英国とフランスもこうした考え方を共有している。いずれも核攻撃を受けた際に米国が守ってくれるとは考えていない。

 

英国はバンガード級原子力潜水艦3隻を保有しており、それぞれが核弾頭を搭載したミサイルを艦載している。これらの潜水艦のうち1隻は常に海中を航行し、英国を攻撃する者に壊滅的な打撃を加える態勢を整えている。フランスもそれに匹敵する軍事力を保有している。こうした抑止力によって、他国から攻撃を受けないことを保証しているのだ。

 

大規模な通常兵器と核兵器を開発している敵対的な中国を背景に、これらの事実は、日本がこれまで考慮してこなかった、政治的に微妙だが現実的で避けることのできない問題を突きつける。

 

その問題に対する答えは困難だが、極めて明確だ。中国は脅威であり、米国が抑止力を提供するというのは神話で、ミサイル防衛システムだけでは十分でない。日本が安全を守りたいのであれば、英国やフランス、その他の国が保有するような最小限の核抑止力を含む包括的かつ独立した軍事力を開発すべきだ」。(日経新聞2014.3.7「経済教室」)

 

米国は自国が核攻撃の脅威に曝されない限り、核兵器を他国のためには使用しないという判断だ。

 

従って、尖閣列島に対する中国の領土的野心はやがて武力行使を伴う侵攻によって現実のものになっても、アメリカは抑止力としての実行力を持たないとウォルドロン氏は見る。

 

シリアの化学兵器を巡るアメリカの軍事行動が腰砕けに終わったことを見ても、米国が同盟国を軍事的に守護すると信ずる根拠は持てなくなった。

 

ましてや米国は日本ではなく中国との親交を深め、巨大な成長市場としての中国を敵に回さない努力を続けることを、外交上の優先順位の上位に置くと思われる。こうした行動基準に立つ米国は尖閣諸島が中国に侵攻されても効果的な対応策は打たない可能性が高い。

 

日本は核武装を抑止力にしてはいけない

 

しかしそうであっても中国の領土的野心に対する抑止力は核武装であってはならない。日本の軍事力の増強は東アジアの緊張関係を深刻なものにするだけだ。

 

そもそも憲法第九条からも核武装は現実的ではない。

 

したたかな、粘り強い外交努力こそが期待されるべきなのだ。

 

まずはロシアと親交を深めることが必要だ。

 

日露間が進行を深めることは、中国の領土的野心に対する野心の牽制力になり。それは同時に米国の日本に対する引力を強めて、米国が中国ではなく日本に再び関心を払わざるを得なくなる環境を整えることになる。