トヨタ流で農業「カイゼン」

 

「トヨタ自動車は4日、クラウドで農家の生産活動の管理システム「豊作計画」を開発したと発表した。自動車の生産管理手法を農作業に応用し、作業コストや資材費のムダを抑えることで生産性を高める。4月から愛知県と石川県のコメ生産の農業法人9社に提供を始め、2015年に子会社を通じ外販を始める。

 

豊作計画はスマートフォン(スマホ)などを使って農作業の進捗状況や作業実績、水田面積などをクラウド上のデータベースに蓄積。農作業のコストなどを「見える化」し、改善点の把握や効率化につなげる。

 

農業生産の支援システムはセンサーなどを活用するシステムが多いが、豊作計画の最大の特徴は「トヨタ生産方式」という工業製品の管理手法を持ち込んだ点。農作業を工程として捉え、田植えや収穫などの工程ごとに作業の目標時間を設定し、計画を作る。作業者が実際に要した時間と比較し、遅れや進み具合を「見える化」する。

 

自動車の生産ラインのように、作業者一人ひとりに時間あたりの目標を設定することもできる。作業に遅れが生じた場合に管理担当者がカイゼンを促せる。

 

作業計画は専用アプリ(応用ソフト)を使って作業員のスマホやタブレット(多機能携帯端末)に配信する。作業終了後に情報を返信して、手順忘れなどミス防止、日報作りなどの手間を省く。

 

肥料や農薬の種類などもデータベースに蓄積する。収穫量や作業時間からコメの生産コストを割り出し、最適な生産計画作りに役立てる。

 

11年から愛知県の農業法人、鍋八農産と協力してシステムを試作。本格運用を始めた13年と12年を比較すると、資材費を25%、労務費を5%削減できたという。「これまでは適切な苗の量がわからず多めに作っていたが、必要な量が把握でき大幅なコスト削減につながった」(鍋八農産の八木輝治代表取締役)(2014.4.5付日経新聞朝刊)

 

このシステムはおそらく田植え、農薬散布、収穫などの工程ごとに標準作業を設定し、作業計画に落とし込んで作業者に伝える。

 

さらには作業の結果をデータとして収集しデータベースに蓄積する機能を中核にしているはずだ。

 

ここで大事なことはベストプラクティスを発見してこれを標準化して、標準作業の設定を実現することだ。さらには収穫したコメの品質やコストさらには作業者の生産性を分析し、目標に届かなかった場合はその原因を突き詰めて改善を図ることにある。

 

もちろん目標を超える成果が上がった場合もその要因を解析し、これに基づいて作業標準を改定することになっているはずだ。

 

まさに工場での品質保証活動を農業に展開することが可能になったということだ。

 

今後はこのシステムを使いこんでいく過程で大きな進化がなされるはずだが、重要なことは農業においては天候の変化、また天候の変化に伴う水温などの環境変化にアジャイルな対応が求められるということだ。

 

となると環境変化を感知するセンサーを介して、環境変化を解析し、これに臨機応変に対応する作業変更を指示することが不可欠の機能として浮かび上がってくるに違いない。こうした機能を獲得することでこのシステムは日本の農業に大きなイノベーションをもたらすに違いない。