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21日 4月 2014

食品廃棄の根本原因は小売業の「欠品ゼロ」の悪習だ

 

2005年の厚生労働省の調査によれば日本の食品の供給はカロリーベースで国民一人・一日当たり2500Kcal。摂取量は同じく1900Kcal。供給と摂取の差異は同じく600Kcalに達する。この差異である供給量の25%が食品の廃棄量と推定される。

 

ということは日本では約3000万人の生存を保証できる食料を廃棄していると推定できる。食品廃棄量をいかに少なくするかは日本の食糧需給率の改善に直接的に貢献することになる。

 

ところで廃棄の原因は何か?

 

在庫過剰が最も大きな要因だ。在庫は二つに分けられる。一つは流通在庫。もう一つは家庭内在庫。

 

流通在庫の過剰は作り過ぎが原因で起きる。家庭内在庫の過剰は買い過ぎが原因で起きる。

 

そして過剰在庫のもう一つの要因は賞味期限や消費期限の到来だ。賞味期限や消費期限を伸ばすことができれば廃棄量は削減に向かう。ということで包材メーカー各社がこの課題に取り組み成果を上げている。

 

「賞味期限切れの食品を捨てる食品廃棄が問題となる中、素材メーカー各社が賞味期限を延ばせる新型容器を相次ぎ商品化している。クラレは食品の鮮度を約3倍長く保てる樹脂フィルムで弁当向けなどの用途を開拓。東洋製缶グループホールディングスは金属缶並みに長期保存ができるプラスチック容器を開発した。購入した食品をよりおいしく安心して食べられるようになり消費者の利便性が高まりそうだ。

 

スーパーの店頭では売れ残った弁当やポテトサラダなどの総菜を、作った当日夜に廃棄する例も多い。容器を替えることで鮮度を長持ちできれば廃棄の頻度や量は減る。店舗側にとってはコスト削減につながるため、クラレは潜在需要が大きいとみている」。(2014.4.19日経新聞朝刊)

 

小売店側も製造プロセスの革新による惣菜、弁当などの消費期限の延長に挑戦している。

 

消費期限が短い弁当や総菜を多数扱うコンビニエンスストアでも食品廃棄の抑制は課題となっている。セブン―イレブン・ジャパンはチルド(冷蔵)状態での配送・陳列によって、通常1日の消費期限を3~4日に延ばした弁当を開発。セ氏5度の低温で管理することで鮮度を長く保つ。ご飯の味わいが落ちない製法を確立したことで実現した」。(同)

 

しかし賞味期限や消費期限の改善には限界がある。この改善は家庭内在庫の過剰には有効だが、流通在庫の過剰に対する決定打にはならない。

 

もっとも効果的なことは何か?

 

ずばり小売業が欠品を認めることだ。小売業の現状は定番商品の欠品を認めていない。欠品による機会損失をなくすことを優先課題にしているので、欠品が起きるとメーカーや卸に小売業からペナルティが課せられる。

 

コンビニエンスストアでは店舗にたいして欠品ゼロのルールが徹底されて、店舗は需要に対して大目に発注をさせられ、消費期限を過ぎれば廃棄処分を余儀なくされる。

 

勢いメーカーも卸も店舗も欠品を恐れて過剰な在庫を持つ。そして賞味期限や消費期限が過ぎれば返品や廃棄が強要される。

つまり食品業界では廃棄を前提とした作り過ぎがあたりまえの世界になっているわけだ。この異常な慣習を「廃棄」しない限り、過剰な流通在庫そして食品廃棄の悪循環からは抜け出すことはできない。

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