「22日、元経済財政担当相の大田弘子氏(60)を取締役会議長に迎える人事を発表した。社外取締役は大田氏など3人を加え計6人となり、取締役13人の約半数を占める。昨年秋に発覚した反社会的勢力への融資問題を踏まえ、内部統治(ガバナンス)体制を刷新する」。(2014.4.23日経新聞朝刊)
みずほのガバナンス改革のポイントは次の4点だ。
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委員会設置会社とする
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社外取締役を取締役総数13名のうち6名とする
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指名、報酬委員会のすべてのメンバーを社外取締役とする
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取締役会議長に社外取締役を任命する
上記のうち3項と4項がみずほのガバナンス改革の目玉だ。
社外取締役の役割は、企業価値の継続的な向上に向けて、執行役員の実行する経営の監督を行うことだ。
つまり社外取締役は取締役会の機能を経営執行の監督に特化させる責務を負っている。
従って取締役会の機能は究極のところ、企業価値の継続的な拡充に失敗した社長を罷免し、それを可能にする人材を社長に任命するということに尽きる。
一般的に取締役会は執行側の会長や社長が議長となって取締役会を仕切るケースが多い。しかしこれでは執行側の作成したシナリオに乗せられて議題の選定や議事の進行がなされ、社外取締役の意見は参考意見に留まることになりかねない。これでは取締役会はその機能を十全に果たすことはできない。
こうした状況に陥らない前提条件は、取締役会議長を社外取締役から選定し、社外取締役のリードで議題の選定や議事の進行がなされることだ。
その実をさらに決定的なものにするには社外取締役の人数を取締役総数の過半数にすることが望まれる。
みずほのガバナンス改革は社外取締役の人数を過半数に近づけ、社外取締役を取締役会議長に選任し、しかも指名、報酬委員会のメンバーをすべて社外取締役にした。これで取締役会の機能を十全なものにする必要条件は整った。
しかしこれだけでは充分ではない。
実はソニーも同様なガバナンス改革を早期に実現し今に至っている。しかしソニーの業績はリーマンショック以降最悪な状態にあるし、未だに回復軌道に乗ったとは言えない状態にある。
つまりあたりまえのことながらガバナンス改革を実施したからと言って企業価値が向上するわけではない。
十分条件は社外取締役自身がどれだけ自らの役割を自覚し、その責務に対するコミットメントとアカウンタビリティを誠実に果たすかということになる。
少なくとも社外取締役が相互に十分に時間を割いて議論を重ねて、相互理解を深めるとともに、相互にその責務の実行状況を監視し、牽制しあうことが必要なのだ。
ということは実は社外取締役こそが自らその責務を果たしているかを相互に監視し、議長は責任を持って進退をも含めたその実行状況の評価を、取締役会の総意として定期的に開示しなければならないということだ。
最終的にガバナンス改革の成否は社外取締役が自らの責務を誠実に果たすか否かにかかっているということだ。
ということは誰を社外取締役に選任するかがもっとも重要な成功要因になるということに他ならない。
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