品質守った日本KFCの戦い

 

日本マクドナルドは使用期限切れ食肉使用問題が発覚して以後客数の大幅減少に見舞われた。

 

これに対して日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)は国産鶏肉を使っていたので難を免れ、客数の増加を実現している。

 

いずれも米国企業の子会社でありながら、両社を取り巻く著しい風景の差は何によって生じたのか? 

 

それはずばり日本品質への徹底的なこだわりだ。

 

 

 

「『なぜコストの安い海外鶏肉を使わないのか』米本社から国産に比べて安く仕入れられる海外産への切り替えを幾度となく迫られた。世界でチェーン展開するKFCはマクドナルド同様、原材料のグローバル調達が基本だ。

 

  80年代前半に米本社は鶏肉だけではなく、原価の安い調理油の採用や調理手順の簡素化も要求してきた。日本KFCはマーケティング費用をあえて抑え、調達費を賄うことを主張。味が落ちる調理方法の変更に対しても日本人の味覚の繊細さを丁寧に説明した。

 

 日本にはフライドチキン同様、ころもと食材の調和を楽しむてんぷらがあり、油を変えては日本人が好む食感にならないと主張。感情論に走ることなく理詰めで鎖国路線を勝ち取った。以後、米本社からの横やりは減った。

 

 輸入の扉を開けると日本の養鶏業者の経営が揺らぐことも抵抗する理由の一つだった。日本KFCは国内の養鶏業者のためにサンダース氏が理想としたハーブ飼料をメーカーと共同開発。健康な鶏肉の生産を支援した。『これがなかったら日本の養鶏業はなくなっていた』(日清丸紅飼料)。いつしか大味が持ち味のライバルは撤退。大手は日本KFCのみになった。

 

 日本KFCの業績は一貫して堅調というわけではない。だが創業時からのこだわりは時に経営リスクから企業を守る。同社は今期、4期ぶりの客数増が見込まれる」。(日経新聞201498日朝刊)

 

 

 

日本KFCは何にこだわったのか。

 

日本人の好む品質、すなわち外観、食感、香そして味にこだわったのだ。

 

そのために、調味油は天ぷらに負けない品質を維持しなければならなかった-

 

鶏肉そのものもカーネル・サンダース直伝のハーブ飼料で育てた鶏肉でなければ日本の消費者の圧倒的な支持を得られなかった。

 

それには日本の養鶏業者を支援して国産鶏肉だけを使い続ける環境を整える必要があった。

 

こうしたこだわりはコスト面では海外のKFCと比べて40%のハンディキャップを生んで、米国本社との軋轢の原因となったが、それでも日本KFCは日本的品質を守り続けた。

 

 

 

食品の海外展開にあたってもっとも重要なことは、その食品固有の品質を提案するだけでなく、その特有品質をベースにその国々の消費者の好む品質を融合させることだ。

 

例えばカルビーの成功もその例外ではない。

 

アメリカの食文化を代表するようなポテトチップスを日本で普及するにあたって、カルビーはやはり調味油に日本人の好む米油を使って消費者の圧倒的な支持を得た。

 

原料ポテトも輸入が事実上不可能であったことから、日本的な品種開発をして日本人好みのポテトを開発して提供した。結果として米国産のポテトチップス原料ポテトより味わい深い原料を創造するまでに至った。

 

 

 

世界中で最も食品の品質にこだわる日本の消費者の支持を得るには想像を絶する創意工夫が必要だ。しかしそのことが結果として世界中のどこよりも安全でしかも魅力の溢れた食品を産み出すことにつながっている。

 

また原料となる農畜産物もこだわりの品質を追求することで、世界市場で価格競争を超えた価値、すなわち付加価値競争力を獲得しているのだ。

 

こうして今や日本の食品はグローバルマーケットで大きな支持を獲得する潜在的な可能性を秘めるに至っているというわけだ。