なぜ日銀は追加金融緩和をしなければならなかったのか?

日銀が金融緩和の追加策を打ち出した。これはアメリカのFRBがこれまでの金融緩和策を終了する意思決定をしたことと無関係ではない。

むしろアメリカの金融緩和終了策を援護する政策とみることができる。

日米の連結経済で見ると、日米の金利差は拡大しつつ、連結のマネタリーベースは拡大を続ける構造が見えてくる。

アメリカにとっては金融緩和を終了しても、日米金利差が拡大することで日本からのマネーの流入が引き続き期待でき、事実上金融緩和を続けながら金利を上昇局面に維持できることになる。

つまりアメリカは金融緩和策を終了してもなお、世界的に高い金利水準を背景にドル高を継続し、世界中からマネーを呼び込むことで、異次元の金融緩和によって実現した資産バブルの状態を継続することが可能になったというわけだ。

そしてこの構造の継続には日本の金融緩和策の拡大、継続が不可欠の要素だったということだ。

むしろアメリカの金融緩和の終了は日本の異次元緩和が不可欠の要素だったということなのだ。つまりアメリカは安倍内閣成立当初からアメリカの金融緩和の有効性を高め、同時に金融緩和の早期終了を目指すために日本の異次元の金融緩和を要求し、それを実現させてきたということにほかならない。

「日銀が1031日に決めた追加金融緩和で、2015年末時点のマネタリーベース(資金供給量)は350兆円を突破し、約450兆円(約4兆ドル)の米国に迫る。国内総生産(GDP)に占める比率は日米欧で断トツの7割に達し、世界的にも異例の領域に入る。(森本学、牛込俊介)

日銀はこうした量的緩和を物価上昇率が2%で安定するまで続けるとしている。日銀内では複数の政策委員が16年度の物価上昇率は1%程度にとどまるとみており、緩和が長びく可能性がある。17年前半まで続けば、日米の量は逆転する。

リーマン危機後からの6年間で、日米欧合算のマネタリーベースは約3兆ドルから約8兆ドルへ2.7倍に拡大した。これに対し、先進国の設備投資や公共投資、住宅投資などの実物投資額は13年に約8.9兆ドルと、08年の約9.4兆ドルの水準を下回ったままだ」。(日経新聞2014.11.3朝刊)

投資なき世界でのマネー供給の増加は資産バブルの膨張に繋がるだけだ。しかしバブル崩壊を阻止するために資金供給は拡大し続けなければならない。いまや世界はこうした悪循環に金縛り状態なのだ。