日銀は当初1.7%としていた15年度の物価上昇率を1%台前半に下方修正する意向を固めた。(日経新聞2015.1.20朝刊)
大きな要因は原油価格の急落だ。
原油価格の急落はガソリンや電力などのエネルギー価格の低下を皮切りに、石油を原料とする広範囲の製品の製造価格を押し下げ、物価を下押しする。
これによって企業は利益を拡大し、消費者は消費財価格の値下げの恩恵を受ける。結果として賃上げの道が拓け、消費者の購買力が拡充する。
従ってこれ以上の金融緩和は不要だという認識が日銀内にも広がっている。しかしリフレ原理主義者はさらなる金融緩和を求めている。
両者のせめぎ合いが日銀政策会合で見られることになる。
仮にこれ以上の金融緩和が実現されると、円安が進行してせっかくの原油価格の低下の消費者に対する恩恵が薄まり、機運が出始めた消費支出の腰折れにつながってしまう。
リフレ原理主義者の目指す物価上昇の目的はなんだろうか。それは物価上昇期待値が上昇することで消費支出を刺激し、経済成長につなげることに他ならない。
しかし金融緩和による円安進行は消費支出にブレーキをかけることになるので、金融緩和は残念ながらその目的としてきた経済成長に対する貢献はおぼつかないことになる。
とすればリフレ原理主義者は手段でしかない金融緩和それ自体を目的化していることに他ならない。
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