こうすればファミマはセブン・イレブンを超えられる

ファミマとユニーGHDの経営統合交渉の開始が報道された36日の株式市場の反応は、ユニーグループ・ホールディングス株が買われた一方、ファミリーマート株は下落した。

「業績不振が続くユニーGHD株は再建への期待から一時前日比12%高の744円まで上昇。終値も11%高の737円だった。反対にユニーGHDの総合スーパー事業が収益の重荷になると懸念されたファミマ株は5370円と2%下落した」。(日経新聞2015.3.7朝刊)

株式市場はサークルKサンクスの事業統合はおくとして、ユニーの綜合スーパー事業はファミマにシナジーをもたらすとは考えにくいという常識的な認識を示した。

こうした常識的な認識を前提にしてもなおファミマがサークルKサンクスとの事業統合を志向するには、総合スーパー事業が足を引っ張ってもなお規模拡大をテコにセブン・イレブン並みの業績実現力を獲得するという強固な意志が感じられる。

「統合が実現すれば、コンビニ事業の売上高は最大手セブン―イレブン・ジャパン(2013年度、3兆7800億円)に次ぐ、2兆8800億円になる。店舗数は約1万7000店とセブンと肩を並べる。

ただ統合による足し算だけではチェーンの実力は測れない。セブン66、ローソン54、ファミマ52、サークルKサンクス46――。偏差値にも見えるこの数字は、平均日販と呼ばれるコンビニの最重要指標。数字に1万をかけたものが、各チェーンの1日当たり1店舗売上高だ。24時間営業、店舗面積100平方メートル強、品ぞろえ数約3000。同じ店舗形態なのに力の差は歴然。ファミマとサークルKサンクスが統合しても、この数字は足し算できない」。(2015.3.9日経新聞朝刊)

ここに示されたの業績格差を埋めるための方策はファミマから今のところ表明されてはいない。しかしセブンイレブン・ジャパン(SEJ)の圧倒的な競争力が何を最重要成功要因(Critical Factor For Success :CFS)として実現されたかを解明したうえで、ファミマもこれを踏襲しそれを超える性能を獲得する以外に、この業績格差を埋める方策はないと知るべきだ。この作業を以下に実行してみよう。

SEJCFSは二つある。

一つは顧客接点である店頭現場と本部との強固で有機的な組織的連携だ。この現場と本部をつなぐ連結環が全国に配置された3千名以上のフィールド・カウンセラー(FC)だ。

FC2週ごとに全国から本社に集結し、現場情報を本部に伝えるとともに、全国の店舗で実行され大きな成果を生んだベストプラクティスを学習し、本部の長短期的な方針の説明を受けその共有に参加する。

現場と本部の間のこのダイナミズムがSEJの変化対応能力を研ぎ澄まし、店舗の課題実現能力の底上げと本部のソリューション能力の継続的高度化を導いている。

二つ目のCFSはチーム・マーチャンダイジング(TM)の仕組みが商品開発や改善に極めて効果的に機能していることだ。

SEJTMSEJと加工メーカー並びに原材料サプライヤーとのコラボレーションの形で運営されている。三者が顧客満足を求めて持てる能力を出し合い新商品の規格、開発、上市のプロセスを参加企業を越えた組織横断プロジェクト方式でマネジメントすることになる。

この時加工メーカーや原材料サプライヤーは営業だけでなく研究開発のスタッフをプロジェクトメンバーとして参加させることで、開発チームは最先端の開発能力を活用できるようになる。

もちろん開発された商品はいくつかの店舗限定でテスト販売にかけられ、個々で消費者や店舗担当者やFCの声を十分にくみ取り、本格発売に漕ぎ着けるまでにもいくつかのチェック&アクションの道を経由することになる。

「規模拡大に意味がないわけではない。コンビニは高度な情報システムが店舗運営を支える。限られた売り場や品ぞろえの中で収益を高めるため、販売や顧客のデータ分析力を向上させる莫大なシステム投資が必要だ」。(同)

しかし情報システムは手段にしか過ぎない。「販売や顧客のデータ分析を向上させる」にはデータを活用するための仮説検証の能力が必須だからだ。そしてこの仮説検証能力は上に見たCFSが備わっていてはじめて十分な効果性を持つことができるのだ。

以上の二つのCFSをファミマが早急に自身のケイパビリティとして確立することがSEJに迫る方策に他ならない。

しかしそれだけではSEJに迫ることはできてもSEJを超えることはできない。SEJを超えるにはまだSEJが辿り着いていない方向をめざすことが求められる。

その方向の一つは地域密着型のMDだ。本部が開発した商品は全国一律に売れるわけではない。味の好みや季節感や地域行事は全国一律ではないからだ。地域に密着して地域限定の商品開発に得意になること、地域密着の店づくりに得意になること。ここにこそ、あるいはここにだけSEJを超えるチャンスが潜んでいるはずだ。

SEJも地域密着にチャンスを見つけ、そこに対応すべく組織改編を行い始めている。ファミマがこのチャンスをものにできるか否かはいかに早くこの方向に舵を切り徹底した施策を波状攻撃的に繰り出せるかにかかっている。残された時間は長くはない。