日銀の異次元金融緩和政策は毎年80兆円規模で国債を市場から購入する計画だが、国債の購入がスムーズに進まない懸念があるようだ。
「異次元緩和に伴う日銀の国債購入にきしみが出てきた。年80兆円ペースの買い増しで市場に出回る国債が減り、日銀が買おうとしても売り手がいない『札割れ』の可能性もささやかれ始めた。黒田東彦総裁は『買える金融資産はいくらでもある』と豪語するが、日銀内からも異論が上がった」。(日経新聞2015.5.11付朝刊)
15年度の新規国債発行額は37兆円。すべてを日銀が購入できても残り42兆円は市場からの購入に拠らざるを得ない。資金需要が低迷する中で金融機関にとって国債は引き続きメインの投資対象とせざるをえないので、国債の売りは過少化する。
個人の金融資産は1600兆円に達し、企業の現預金は200兆円、内部留保は300兆円を超えているという状況は、明らかに魅力的な資金使途が見当たらないことを意味し、結果としてこぞって国債に運用が集中することになっているわけだ。
こうして金融緩和そのものが持続不可能と言う事態に立ち至り、もともと金融緩和そのものが意味を持たなかったことを証明することになったのだ。
しかしこうした認識に立つはずもない黒田日銀は、国債以外の金融資産、株式や不動産に触手を伸ばして積極的に買いあさる行動に出るに違いない。
黒田日銀は異次元金融緩和を強気の姿勢で継続し続けて、物価上昇の期待が風化しないように「期待」せざるを得ないからだ。
こうして今後はGPIFや共済年金やJPだけでなく日銀も本格的に、株式や不動産を爆買いするクジラに変身することになる。
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