インド型(デルタ型)の猛威で新型コロナの感染者は急増した。
8月20日現在、全国の新型コロナ療養者の実態は以下の通りだ。
療養者数 167,588人
入院者数 21,590人
内重症者数 2,591人
宿泊療養者数 18,030人
自宅療養者数 96,857人
療養先調整中 31,111人
内入院先調整中 1,858人
発症している人のうち入院できている療養者はわずかに13%でしかない。
約13万人の方が自宅で不安と恐怖に向き合っている状況なのだ。
この状況を生じている要因はコロナ対応可能な病床数が圧倒的に少ないことにある。
発症者を受け入れる病床数の実態は以下の通りだ。
即応病床数 36,314床
内即応重症病床 5,157床
8月20日時点での発症者が13万人に対して即受け入れ可能な病床数は3万8千床しかない。
1月上旬の約2万8千床から上積みできたのは8千床のみだった。
ところで厚生労働省によると4月末時点の一般病床約89万床の使用率は66.5%。
約30万床もの空き病床が存在しているのにコロナ対応には役に立っていない。
全病床に占めるコロナ病床の割合は、ワクチン接種が進む前の段階で英国では2割、米国では1割を超えたが、日本では最大4%弱にとどまる。
これにはいくつかの理由がある。
一つは1病院当たり10床未満の病院が少なくないということだ。
欧米諸国では、100床単位でコロナ対応病床を集約して医療資源を有効に使っている。
日本では大規模病院の数が圧倒的に少ないということだ。
もう一つはコロナ即応病院が積極的にコロナ患者を受け入れていないという状況があるのだ。
「7月29日時点、コロナで入院している患者は都内に約3000人。
確保病床の半分にすぎないのに、
一部病院からは『ほぼ満床状態』『退院直後に新規入院がある』と悲鳴が上がる。
ある病院関係者は『政府の補助金を受けて病床を確保しながら、
積極的に患者を受けない病院がある』と明かす」(7月22日日経新聞)。
新型コロナ対応病床の増加がこれ以上期待できない状況を踏まえて、
医師会が野戦病院方式の導入を提案している。
体育館や公会堂などの大規模施設に病床を可能なかぎり並べて、
専門の医療スタッフが先端的な医療機器と投薬で対応しようという方式だ。
現在自宅療中の発症者をここで受け入れて、発症初期に治療を行い、
万が一重症化したら即時に重症者対応病院へと移送することが可能になる。
軽症者を重症化させないための初期対応がもっとも大事なことだと言われている。
重症者を増加させないことが新型コロナとの闘いで最も大事なことだ。
そして何よりも医療スタッフからのケアもなしに、
自宅で不安に苛まれる療養者がゼロになる状況を一刻も早く作ることが政治の役割だ。。
河川の氾濫や大地震などの緊急時に、住民が公民館や体育館に避難するように、
新型コロナも緊急事態であるとすれば大規模な「避難先」を設けて、
住民の安全を確保することは至極当然のことに他ならない。
政府が一刻も早くこの方式の導入を宣言し、自治体に対してこの方式の早期実現に向けて予算を十分に付けて指示を出すことが望まれる。
まだ30兆円ものコロナ対策用補正予算が執行されずに待っている。