以下は10月1日「脱炭素 深掘りめざす石炭火力の縮小が争点」と題する日経新聞記事に基づきます。
第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が英国グラスゴーで31日に開幕される。
石炭火力発電の廃止が論点に浮上している。
欧州には時期を明示して石炭火力を廃止する意向を示す国もある。
COP26の議長国の英国のジョンソン首相は、先進国は30年まで、途上国は40年までの廃止を求めている。
日本は30年度の発電の2割弱を賄う計画で、先進国としては消極的と批判の的になりそう。
カーボンプライシングの導入も論点の一つとなる。
炭素に価格をつけて企業の排出削減を促す排出量取引制度の導入も日本は遅れている。
途上国は最新技術や資金面でさらに途上国を支援するよう先進国に迫っている。
途上国の要求に先進国がどう応えるかも論点の一つになる。
気候変動対策において日本は大きく遅れをとっている。
10年前の福島原発事故を契機に日本中の原発が停止した。
この時点で原発を電源から外し、以後は再生エネルギーに依拠する電源構成を目指す意思決定ができていれば、再生エネルギー活用の技術革新が大きく前進して、今頃は気候変動対策において世界を牽引する立場に立っていたに違いない。
あの時点で原発ゼロの意思決定をせず、原発再稼働を前提に当面石炭火力やLNG火力に依拠して凌ごうとした姑息な決断が、今日の気候変動対策の周回遅れという困難の根本原因になっているのだ。
今からでも遅くはない。
原発ゼロの方針を明確に示し、50年の電源構成には原発はゼロとする計画をCOP26にて提示すべきだ。
それによって再生エネルギーの活用に向けて日本を挙げて全集中の取り組みが前進し、再生エネルギー立国の道が開けることになるはずだ。
さらに再生エネルギーは基本的に地産地消を前提にするので、再生エネルギー中心の電源構成は日本の貿易収支の改善に大きく寄与し、国富の面においても大きな貢献をするに違いない。