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24日 2月 2022

原発は脱炭素メニューから外そう

2月24日の日経新聞「経済教室」で長崎大学の鈴木教授(元内閣府原子力委員会委員長代理)は「原発の依存度を低減へ国民的議論を」提唱している。

論旨をまとめると次のようになる。

1.             世界の電力供給における役割が現状程度か低下するのは明らかだ。世界の総発電量に占める原子力発電のシェアは、最近は10%前後で推移する。発電量も2020年は12年以来の減少(前年比3.9%減)となり、95年以来の低水準となった。であれば脱炭素電源としての役割も限定的なものと考えざるを得ない。

2.             停滞傾向の最大の要因として考えられるのが、原子力発電の競争力低下だ。脱炭素電源としての原子力発電コストは、再生可能エネルギーの発電コストの急速な低下に追いつかないとみられる。

3.             日本の20年の原子力発電比率は4%にすぎない。日本の電源構成で原発は「主役の座」を既に降りている。政府は30年度の原発比率を20~22%とする目標を掲げるが、とても実現できそうにない。NHK世論調査(20年11~12月)によると、7割近い国民が原発依存低減を望んでおり、再稼働についても賛成が16%に対し反対は39%にのぼる。

4.             高速増殖炉「もんじゅ」の廃止が決定した後も、核燃料サイクルについては議論もされていない。

5.             高速炉と核燃料サイクルの推進を大きな目標としてきた原子力研究開発も、廃炉や廃棄物処理・処分を最大の柱とする方向に転換すべきだろう。使用済み燃料の最終処分の見通しもない現状を考えれば、50年代から維持してきた「全量再処理路線」の見直しも不可避だ。

6.             原発事故が残した負の遺産はいまだに重く、国民の負担となっている。何よりも事故炉の廃止措置は、技術的に最も困難な課題であるとともに、経済的にも社会的にも今後40年以上にわたり取り組んでいかなければならない問題だ。

7.             福島の復興と避難した被災者の健康、生活、環境回復なども、負の遺産として東京電力のみならず政府が責任を持って取り組まなければいけない課題だ。

8.             こうした負の遺産への取り組みが、本来は原子力政策の最優先課題であるべきだ。

9.             原子力の将来にかかわらず最優先で取り組まなければいけない課題(福島第1原発の廃炉、福島の復興、放射性廃棄物問題、人材確保など)が山積みだ。

 

日本の原子力政策の課題を整理してみよう

以上の鈴木氏の論考をベースに日本の原子力政策の重要課題を整理してみよう。

1.    まず50年を目標年度とするゼロエミッションのエネルギー構成比において原子力の占める比率はゼロとする。

2.    原発は全て即時廃炉にする道を選択する。

3.    今後の原子力政策は以下の課題を重点として取り組むこととする。

①    福島原発の廃炉とこれに伴う汚染物質(デブリ、汚染土、汚染水)の完全処理。

②    福島原発の事故に伴う被災者の完全救済。

③    使用済み核燃料の処理法の研究開発。

④    原発の安全な廃炉の方法の研究開発。

⑤    福島原発廃炉ならびに使用済み核燃料処理に関わる人材の養成。

ところで、福島原発の事故原因はいまだに明らかになっていない。二つの仮説がある。

1.    津波によって全電源が喪失し、核燃料の冷却が不可能になった。

2.    地震によって核燃料冷却システムが破壊され、冷却が不邪脳になった。

最近では二番目の仮説が有力視されてきている。

地震国日本において活断層を避けて原発を建設することは不可能に近い。

とすると巨大地震によっても破壊されない冷却システムの組み込みが必須になる。

そのための建設費、あるいは既存原発の補修費には天文学的なコストが必要になる。

またそのような補修がなされるまでの原発の稼働にあたっては、

1.    万が一のための住民の避難経路の確保、

2.    損害が起きたときの損害保険の付保

が前提となされなければならない。

これらの課題は先に述べた重点課題に加えて、今稼働している10基の原発について、早急に講じられるべき処置になる。

 

福島原発の事故を経験した日本は世界の原発の廃炉に向けて、戦略的な経路の研究開発の先頭に立って推進する機会と責務とが与えられたと識るべきである。

 

 

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