テスラの快進撃が止まらない。
図―1によって販売台数の推移を見てみよう。
2022年度の販売台数は131万台。前年対比で40%増加して百万台の大台を軽くクリアした。
販売台数は2018年度、2021年度に大幅増加を達成している。
2018年では高級車セグメントのModelX,ModelSに大衆車セグメントのModel3が加わり、それが台数シェアで60%を占める販売構成が確立した。それ以降.売上高が順調に進展している。
販売台数の拡大とともにテスラの業績も飛躍的な伸長をみせている。その様子は図-2によって確認できる。
売上高の前年対比増加率は、2021年度は170%、2022年度は152%、2023年度は122%の予想だ。23年度は値下げの影響で営業利益が前期比で減少が見込まれている。
営業利益の推移は図-3によって確認できる。
テスラは温暖化ガス排出権の取引で巨額の収益を上げている。その額は22年4Qで15億ドルに達しているほどだ。販売した車のCO2排出量はEVの場合ゼロであり、従って排出基準量そのものがガソリン車を製造するメーカに対して排出権(クレジット)が売却可能な取引量になるわけだ。
このクレジット販売による収益が2020年度までは実質営業赤字をカバーして営業利益はやっとのことでプラスになるという状況が続いてきた。21年2Q以後は収益構造が大転換して、実質営業利益が順調に積み上がるようになった。21年3Q以後は営業利益率15%の高水準を継続的に叩き出せるようになった。19年の上海ギガファクトリーの稼働、21年のベルリンギガファクトリーの稼働が高収益構造を生み出す牽引力になったと言える。
つまりEV先進地域である中国と欧州という二大マーケットで強力な供給基盤を構築したことが収益力の改革につながったということだ。
このように順調な成長の軌跡を描いてきたテスラの戦略の秘密を次回明らかにしてみたい。