ダイヤモンドオンライン2023/11/1「TSMCは「地元台湾の半導体サプライチェーン」を強化!」によるとTSCNは世界の半導体技術先進地に技術拠点を展開しつつも、台湾において半導体産業の集積地を構築するビジョンを掲げ、これを実現するために持続的に手を売ってきている。
そのエポックが台湾でのr&dセンターの稼働開始だ。
以下に本記事の主要な記述を抜書きしてみよう。
「7月28日、台湾の新竹県宝山郷。世界の半導体産業を左右する先端基地が誕生した。半導体受託製造世界最大手のTSMCが、グローバルR&Dセンターを開設したのだ。
延べ床面積は30万平方メートルと、サッカー場42個分の広さだ。将来的にはここで7000人のエンジニアが知恵を絞り、回路線幅が2nm以下の先端半導体や高速コンピューティング、人工知能(AI)サービス、自動運転、裸眼3D技術などに取り組む」。
「この日登壇したチャン氏は、TSMCは創業初日から技術的に独立する道を志しており、オランダ・フィリップスの特許を取得するために高額の手数料を支払ったことを振り返った。以来、TSMCは世界の大手メーカーの特許に干渉されないよう、技術面で自立することに注力してきた。
TSMCが技術の独立から技術のリーダーに至るまでには長い道のりがあった。世界をリードしていると自信を持って言える、7nmプロセスの半導体の量産までには30年かかった。
20年近くにわたり、TSMCは売上高の8%を研究開発費に投じてきた。現在の年間売上高は2.26兆台湾ドルに迫り、研究開発費は55億ドルに達した。これは米マサチューセッツ工科大学の年間予算20億ドルをはるかに上回る額だ」。
「TSMCの強みは、独立した技術や研究開発のリーダーシップ、グローバル人材に加えて、台湾の地元サプライチェーンとの継続的な協力関係がある。TSMCのウエハーコストが比較的低く、生産効率が高い理由であり、強力な競争力を守る“堀”になっている。
地政学的なリスクや米中の貿易摩擦、ESGの観点などにより、各国は半導体サプライチェーンの現地化を求めている。
TSMCも2019年から現地調達の比率を高めており、地元サプライヤーへの助言も積極的に行ってきた。
現在の地元の原材料サプライヤーは9社だが、30年までに38社へと大幅に増加させる計画だ。また原材料の現地調達比率も10年以内に50%に、補修部品の現地調達比率も68%まで高める方針である。
独自技術を持つTSMCが現地地元サプライヤーの技術および生産能力の向上を支援するだけでなく現地調達を進めることは、輸送時間の短縮や省エネなど生産効率の向上につながる」。
「TSMCは地元メーカーへの助言や技術サポート、検証を支援する専門チームを3年前に立ち上げた。TSMCのサプライチェーンに食い込むことができれば、まるでスズメが不死鳥に化けるかのように業績と市場価値は飛躍的に高まる。その代表が家登精密工業だ」。
「現在、TSMCの年間支出320億ドルの50%近くが台湾に投じられている。TSMCと取引する台湾の小さなテクノロジーの巨人は、主に3分野に分けることができる。
一つ目は「CoWoS」と呼ばれる先進的な半導体パッケージングのサプライチェーン企業、二つ目は工場の建設や設備機器、材料のサプライヤー、三つ目は半導体用の特殊な化学品や産業ガスのサプライヤーである。
米エヌビディアの新しいAI半導体は全てTSMCのCoWoSプロセスを使用しており、関連生産能力の不足が深刻化している。TSMCはCoWoSの生産拡大を加速しており、ここに参入する台湾企業は勢いに乗るだろう」。