HBRオンライン掲載に掲載されたトーマス・ランジ ,ビクター・マイヤー=ショーンベルガーの『チャットGPTで意思決定の質を向上させる方法』(https://cl.diamond.jp/c/aq7yac
意思決定のプロセスは次の3段階からなる。
1. 課題の定義と目標設定
2. 課題解決方法を複数案創出
3. 課題解決方法の最適案の選択
このプロセスの全てにわたってChatGPTは意思決定者に有効なサポートを可能にする。すぐにでも使えそうな回答が得られるわけではない。ChatGPTが人間の限界を超えて多数の有効な解決策を提案してくれることが重要なポイントなのだ。
意思決定の上記のプロセスをより効率的により効果的に体系的に進めることをサポートしてくれるということだ。
そしてさらにこれまで思いもつかなかった解決策をいくつも提案してくれることになればもはやAIなしに意思決定を行うことは考えられないことになりそうだ。
「現在のチャットGPTがさらに有用となるのは、まったく考えが及ばない選択肢や、簡単には思いつかない選択肢を追加で見つけ出すために使う場合だ。これにより意思決定の視野が広がり、自分が気づいているよりもはるかに多くの、広範囲にわたる選択肢があることがわかる」。
なぜChatGPTで意思決定の上質化が可能になるのか
なぜなら「チャットGPTがアクセスできる公開データの一部には、業界や企業の種類ごとに選択肢の宝庫があるからだ。ゆえにチャットGPTは、似た状況下にある企業によってインターネット上に記録された多くの戦略を提示でき、独創的なアイデアを思いつくかもしれないのだ」。
ChatGPTと対話を繰り返す中でAIは意思決定者の置かれた環境、経営状況についての情報を取得し、その状況に類似した他社の事例を参考にして複数の選択肢を提供してくれる。
適切なプロンプトが決め手になる
これを効率的に行うには有効なプロンプトを投げかけることができるかにかかっている。例えば次のようなプロンプトを投げかけてみることでChatGPTは質問を投げかけた意思決定者の状況を前提に類似の事例を検索して、いくつかの有効な解決策を提示してくれる。
「こんにちは、チャットGPT。私はオハイオ州コロンバス郊外にある中規模機械メーカーの社長で、経営は順調です。新しい人材、特にエンジニアの獲得に苦労しています。どのような原因が考えられますか。同じような製造企業は、人材不足に対処するためにどのような戦略を採用していますか」。
ChatGPTGAより有効になるには
ChatGPTが今後このような機能にさらに磨きをかけていくためにはケーススタディの情報蓄積とその活用の道を開くことが欠かせない。
「ビジネスケーススタディを独占的に保管しているハーバード・ビジネス・パブリッシング(HBRの親会社)や、非営利のケースセンターといった主要機関が大規模言語モデルの開発企業と協力すれば、チャットGPTは意思決定者にとって強力な意思決定アシスタントに変わるだろう」。
なぜなら「経営者らが直面する意思決定のうち、唯一無二のものはほとんどない。かつて何千人、時には何百万人もの経営者が、似たような選択を迫られてきたのだから。
彼らがどのように意思決定の枠組みを設定し、選択肢を比較検討し、決断をしたのかについて、人間の言葉でより巧みに説明されればされるほど、ディシジョンGPTはより多くの情報に基づく意思決定のための強力なツールとなるだろう」。