日経新聞12月26日朝刊が次のように報じている。
https://www.nikkei.com/paper/article/b=20231226&ng=DGKKZO77262690V21C23A2EA2000
「内閣府が25日発表した国民経済計算の年次推計によると、豊かさの目安となる日本の2022年の1人あたり名目国内総生産(GDP)は3万4064ドルとなった。イタリアに抜かれて主要7カ国(G7)で最下位だった。円安が大きく影響したが、長期的な成長力の低迷も映している」。
OECD加盟国の中では21年より順位を一つ落としての22位だった。
円安の影響が大きい。
「22年末にかけて急速に進んだ円安がドル換算の1人あたりGDPを押し下げた。内閣府の試算で前提においた為替レートは22年は1ドル=131.4円で、21年は1ドル=109.8円だった」。
名目GDPの総額ではどうか。
「名目GDPの総額では日本は22年に4兆2601億ドルだった。世界のGDPに占める比率は4.2%で、米中に次いで3位は維持した。シェアは比較できる1980年以降で最低で、2005年の10.1%から17年間で半減した。ドイツのドル換算の名目GDPは22年に4兆825億ドルでシェアが4.0%となっており、日本に肉薄する」。
名目GDPの総額は国力を表す指標だ。名目GDPのシェアの下降は日本の国力の衰退を物語っている。
GDPの減衰は消費支出の低迷によるところが大きい。円安による食料、エネルギー価格の上昇そして消費税増税政策が物価全体の底上げにつながって消費位支出の伸び悩みを招いている。それに加えて生産性が下降して賃金水準が頭打ちとなって、消費支出は三重苦に押しつぶされる形で減衰している。
この状況からどのようにしたら脱却できるだろうか。
まずは消費税の廃止だ。最もスピーディに実現できる着手点だ。
そして次は賃金を押し上げる政策を矢継ぎばやに打ち出すこと。最低賃金は思い切って1,800円程度に押し上げる。一日8時間、月20日勤務で約30万円弱の水準だ。同時に介護士、保育士、看護師、消防士、警察官、自衛隊員などのエッセンシャルワーカーの賃金水準を現状の1.5倍水準に押し上げるとよい。
この二つの政策で消費が増加傾向に向かい、GDPが押し上げられ、結果として円高に向かい、輸入物価が下降軌道に乗って、物価水準が下がり、消費の拡大をさらに刺激することになる。
政府がこれらの政策をとることで緊縮財政から積極財政への大転換をはかれば、日本の国力が拡充し、結果として一人当たりのGDPが回復基調に乗るようになるはずだ。